話しかけると、何度も「えっ?」「何・・・?」と聞かれたり、こちらの言うことが通じないような表情をされた経験はありませんか?あるとしたら、その方はほぼまちがいなく難聴者。「聞こえるけど、話がききとれない」。これが難聴者の基本的定義です。すなわち難聴者にとってきこえることと話がわかることは全く別なのです。耳のきこえを失っているだけなのに、接し方は意外と知られていません。何回も聞き直しをされてされて会話が進まず、めんどうくさくなって「もういい」と打ち切ってしまう前に、難聴者を理解する3つのキーワードをお伝えしましょう。
キーワードその1:きこえかたは人それぞれ
ほとんどきこえない「ろう」の人もいますが、「低い音がききやすい」「高い音の方がよくきこえる」「大声なら大丈夫」「ちょっと大きめの声で十分」など、人それぞれです。単に「きこえない人」と決め付けずに、まずはあなたのそばにいる難聴者がどんなきこえ方をしているのか、気軽に声をかけてみてください。そこから新しい関係が生れるかも。
キーワードその2:補聴器
補聴器とは、簡単にいえば音を電気的に大きくするキカイ。小さな小さなコンピューターが組み込まれています。使う人に合わせて高音域や低音域などを調整します。
でもここで知ってほしいのは、補聴器をつけたからといって健康な人と同じようにきこえる訳ではないということ。補聴器はあくまで音に近づくための補助的な道具とご理解ください。雑音でもいいから何か音が聞こえていたほうが安心、という理由で補聴器をつける人もいるのです。
キーワードその3:目で音声を知る
わかりたい!という気持ちこそ、コミュニケーションの大前提。そのために難聴者はできる限りの方法を使います。紙に書いて伝える「筆談」、指で空中に書く「空書」、相手の口の動きを読み取る「読話」などがあります。手話は一般にも知られるようになりましたが、「きこえない」イコール「手話」とは限りません。むしろ多くの難聴者は手話を使えないか、覚えるのに苦労しています。
耳がだめなら目で。文字として書かれた情報や身ぶり手ぶり、口の動きや手話など、目で確認できる方法を取ることが大切です。
これで大丈夫!難聴者との接し方
話し方のテクニック
向かい合って、まずは普通の声でゆっくり、はっきり話してください。たいていはこれで十分です。それでも分からなければ紙に書いて伝えてください。
呼び出し方にちょっとした気くばりを
後ろから声をかけても気付かない場合がほとんどです。軽く肩をたたいたり、見える位置から手招きしてください。
見せる工夫
お見え者受付の支払などでは、レジスターの金額表示やレシートを先に見せて金額をめで確認できるようにしてください。
一緒に楽しもう
講演や演劇、集会などを催すときは、なるべく要約筆記通訳や手話通訳をつけてください。難聴者も一緒に学んだり楽しんだりすることが出来ます。
宮城県・仙台市難聴者中途失聴者協会(旧名称)パンフ「なるほど『難聴』」より抜粋
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