ホーム > 協会案内 > 中途失聴・難聴者とは > 平成20年 6月 7日:初稿

きこえのバリアフリー1

プロローグ

難聴者とは



「聞こえるけれど、何を言ってるか聞き取れない。」
 これが難聴です。難聴者にとって、聞こえることと話がわかることとは全くべつなのです。
 ひとくちに『難聴』といっても、ちょっと大きな声なら聞こえる人、補聴器を使っても一部しか聞き取れない人、ほとんど聞こえない人など、障害の程度はさまざまです。これだけ違うと、コミュニケーションの方法も1つだけではありません。
 この小冊子は、「難聴者には大声で話せばいい」「聴覚障害者と話すには手話を覚えればいい」「補聴器を使えば普通に聞こえるだろう」といった誤解や思い込みがなくなることを願って作りました。読後のご理解、ご協力をいただければ幸いです。






難聴者と出会ったら
〈難聴者に話しかけるときは・・・〉

・背後から声をかけたり、突然話し掛けたりしても気付かない場合があります。
 まず、軽く肩をたたいたり手招きをするなど、ちょっとした合図をしてから話し始めるようにして下さい。



・補聴器の有無に関係なく、難聴者は相手の唇の動きや顔の表情をよく見ています。「口元が見えるよう、難聴者の正面で」「ゆっくり」「はっきり」話してください。



・身振りや手振り、紙に書く・指で宙に書くなどの方法もコミュニケーションを助けます。これらをいくつか併用することで、話の内容をより正確につたえることができます。

     

補聴器を使うと?
〈難聴者と補聴器〉

「補聴器は、普通の耳と違って聞きたくもない音も拾うため、長時間の使用は疲れるという方もいます。また、補聴器がどうしても合わない、なじめないという方も中にはいます。」

・補聴器の中にはコンピュータが入っていて、音を増幅させる働きをしています。聞こえの程度にあわせて、軽度用から重度用までいろいろな機種があります。
 難聴者にとっては体の一部ともいえる大切なものですが、耳の機能を完全に補えるものではありません。健康な人と同じように聞こえる訳ではないのです。
 補聴器は、あくまでも補助的なものとご理解ください。


難聴者の悩みや不便
・電話がよく聞き取れなかったり、聞き違えてしまう。
・病院や銀行などで名前を呼ばれるとき、聞き逃すまいといつも緊張している。



・駅構内や百貨店などのアナウンスが聞き取れない。電車が遅れた時など不安・・・



・相手によっては、ゆっくり話したり紙に書いたりすることを面倒がられる場合がある。
・職場で、会議などの内容がつかめず取り残される
・避難を要する災害時は音声情報だけだと逃げ遅れる場合がある



・字幕のないテレビ番組や日本映画は楽しむことができない   ・・・など


バリアフリーの社会へ
難聴者はこのように接していただけることを望んでいます

病院・銀行などで
 難聴者をあらわすマークとして『耳のシンボルマーク』があります。このマークのシールを保険証や診察券、通帳や母子手帳に貼り、難聴者であることをアピールしています。


「耳マーク」

 このマークを見かけましたら、呼び出しの際には手招きなど、目で確認できる合図をお願いします。県立病院や仙台市立病院のように、振動で伝える聴覚障害者用無線呼び出し器を置く所もあります。また、細かい説明などは紙に書いていただけると安心できます。

レジにて
 「私は耳が聞こえないので」などとアピールしますから、その際には身振り手振りを加えるなどのご協力をお願いします。
 支払は、レジスターの金額表示が見えれば支障はありませんが、そうでない場合は先にレシートを見せていただけるとスムーズです。



受付で耳がきこえないことを伝えていても、くり返し大声で名前を呼ばれて周囲の注目をあびたり、逆に何度呼ばれてもわからず後まわしにされたりするケースが少なくありません。





地域の中で
 地区の集会や講演会、生涯学習の場などでは、話の内容をその場で書いて伝える「要約筆記通訳」や「手話通訳」がついていれば、健康な人と同様に参加することができます。
 催し物の主催者となる方には、これら通訳の積極的活用をお願いします。(通訳派遣の申込先は巻末資料をご覧下さい)




家族や友達の輪の中で
 家族や友達が楽しく談笑しているとき、自分だけ輪に入れず寂しい思いをすることがあります。話を聞きたい、一緒に笑いたいという気持ちは健康な人と同じなのですが、複数の声や会話の速さについて行けない場合がほとんどです。
 できれば大まかにでも、「今何を話しているか」を伝え、話しの輪に入れるようにして下さい。




宮城県・仙台市難聴者中途失聴者協会(旧名称)「なるほど『難聴』読本」より抜粋


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