ホーム > みみっと > 平成17年版 > 平成21年 2月24日:初稿

~北の国から~(5)

1997年9月15日発行 みみっと6号に掲載

瀬谷 和彦


 北の国からシリーズもちょうど5回目になりました。
 今号は字幕についての私の講演内容が記されてますので福祉問題についてはお休みにして、私の住んでいる弘前市の紹介をしましょう。弘前市は人口約18万人で、青森市から約35キロ西南に位置し、3方を山(岩木山、白神山地、奥羽山脈(八甲田))に囲まれ、北側が海(日本海)に近くなっています。そのためか、夏は山形市のように暑く、じっとりとしてきます。昨年もそうでしたが、今年は11日間連続真夏日を記録してます。私の職場(弘前大学医学部薬理学教室)は冷房がありません。朝から夜まで蒸し風呂のような研究室で実験しております。今年は熊本や神戸から研究者が来て実験をしていますが、信じられない(?)暑さにまいっております。彼らは冷房完備の研究室で仕事をしてきており、30から35度の部屋での実験に慣れてないのですね。もともと暑さに弱い私のことはもう想像がつくと思いますが、ダウン寸前です。

 一方、冬はというと、どこに例えたらいいのやら、とにかく青森ほどは雪は降らない(青森の半分くらい)のですが、昼間温度が上がって夜冷え込みますので道路は最悪です。温度が上がった分解けた雪が夜には氷に変身してしまうのです。私の車は後輪駆動でチェーンをつけてますが、それでも夜は運転しません。

 ここまで書いてしまうと弘前は住み難いところだということになってしまいますが、それでも弘前にとっては春と秋が最高の季節なのです。弘前城公園では4月下旬から5千本の桜が一斉に咲き誇ります。さらに岩木山をバックにした桜並木のすばらしさは美的感覚に疎い私でも納得できるくらい絶品です。少し遅れて今度は、リンゴの木がきれいで可憐な白い花を咲かせます。そして秋は、りんごの収穫、周囲の山の紅葉、心地よい気候に加え、弘前城公園ではもみじ祭りが開催されます。

 しかし、何といっても弘前に欠かせないのは岩木山です。標高1625mのこの山は津軽富士とも呼ばれ、稜線がとてもなめらかで周囲に山一つなく孤高を保っています。どんな悩みを抱えてもこのどっしりとした山を見つめると何となく安心感がわき起こってくるというか気持ちが落ちついてきます。私も家内と時々岩木山を眺めることのできるレストランに行き、時間をかけてコーヒーを飲みながら岩木山の眺めを満喫します。

 この山の落ちつきと関連するのか、8月初旬に開かれるねぷた祭りは青森のねぶたと違って地元の市民たちが創っていくという伝統が守られています。今年のねぷたは65台出動したそうです。そのなかに子供が作るねぷたがあります。私も聞いて驚いたのですが、弘前の小学校の5年生と6年生の音楽の授業ではねぷたの囃子や笛、太鼓が必須科目(4年生は自由選択)なのだそうです。そして、祭りの日には法被などを着て「ヤーヤドー」とかけ声をかけてねぷたを引っ張って町の中を練り歩くのです。そのせいか、弘前の人たちは祭りが近くなって太鼓の練習の音が響き始めると体中の血が騒ぎ始める、と言います。この習慣は弘前という土地との絆を深める意味ですごく大切なことであり、ぜひ守り続けてほしいと願っております。余談ですが、私はまだねぷたもねぶたも見たことがありません。来年こそは見よう。 トピックスではないが・・・ 携帯電話と心臓ペースメーカー  トピックスとまでは行かないのですが、アメリカのロチェスターにある有名なメイヨー-クリニックの研究者グループが New England Journal of Medicine に携帯電話機と心臓ペースメーカーとの相互作用について興味ある結論を掲載したので紹介します。彼らは心臓ペースメーカーを装着した患者980人と5つのタイプの携帯電話機と共に調べ、臨床的に発生する電磁障害を計測しました。携帯電話機はいずれもパワーを最大にし、ペースメーカーの上に当てた場合と正常の操作で通話した場合についてペースメーカーの異常の発現の割合を調査しました。その結果、正常の操作で通話した場合、臨床的に重要な障害は起こりませんでした。しかし、電話機をペースメーカーの上においた場合、臨床的に重要な障害の発生率は6.6%であり、携帯電話機が植え込んだペースメーカーの機能を妨害しうるという結論に達しました。

 公共の乗り物の中で携帯電話を切ることはもう常識になっていますが、うっかり忘れることもありますので特に注意してください。



   ホーム > みみっと > 平成17年版 > ~北の国から~(5)・・・